はじめに

フリーランスや個人事業主の方は、所得税を正確に申告・納税するために確定申告が必要です。この記事では、フリーランスにおける確定申告の必要性や、その流れや必要書類について解説していきます。また、青色申告による節税メリットを活用する方法もまとめています。確定申告を円滑に進めるための情報が満載のこの記事をお役立てください。

1. フリーランスに確定申告が必要な理由

フリーランスや個人事業主の場合、確定申告をしなければならない理由は主に以下の3つです。

(1) 事業所得の申告

フリーランスや個人事業主は、自分で仕事を請け負い収入を得るため、事業所得が発生します。事業所得には所得税が課せられるため、年間の収支を申告し課税所得を算出する確定申告が必要になります。

また、所得税の計算では所得額から所得控除を差し引くことができます。このため、所得が規定額以下であれば、基礎控除を差し引いた結果、課税所得が0円となり、所得税が発生しないケースもあります。

(2) 還付金の受け取り

所得税の計算が済んで実際に納税する段階で、納めすぎた税金がある場合があります。この場合、確定申告を行うことで、還付金が戻ってくる可能性があります。

還付金がある場合でも、確定申告をしなければ返ってくることはありません。確定申告を行うことで、適正な税金額に修正されるので有利です。

(3) 純損失の繰越控除

フリーランスや個人事業主が1年の間に損失が出た場合、「純損失の繰越控除」という税制上の優遇措置が適用されることがあります。しかし、これを受けるためには確定申告が必須です。

1年間の収入が損失を出してしまった場合でも、確定申告を行うことで翌年以降の収益に対する税金負担を軽減できるので、忘れず申請を行いましょう。

2. 確定申告の流れと必要書類

確定申告の基本的な流れと、各工程で必要な書類について説明します。

(1) 情報の集めと整理

まずは、1年間の収入や支出に関する情報を集め、整理していきます。売上金額や必要経費などの情報が必要です。また、還付金がある場合は、その金額を確認しておきましょう。

情報を整理する際には、領収書や取引記録、預金通帳などの原本やコピーが役立ちます。情報が正確であることが大前提であるため、適切な証拠を揃えた整理が求められます。

(2) 控除に必要な資料の集め

確定申告では、一定の要件を満たすと控除が受けられる制度があります。助成金や保険料など、特定の制度が適用される場合は、その証明書類が必要になります。

また、寄付金の金額や医療費の支払額を控除できる場合もあります。その場合は、寄付金の領収書や医療費に関する書類を用意しましょう。

(3) 申告書や添付資料の作成・提出

情報と資料が揃ったら、確定申告書を作成し、必要な添付資料を用意します。申告書は、税務署で入手できるほか、インターネットからダウンロードして使用することも可能です。

書類が整ったら、所轄の税務署に提出します。確定申告期間は2月16日から3月15日までです。期間内に提出することが重要ですので、余裕を持って準備を進めておきましょう。

3. 青色申告とは

青色申告とは、フリーランスや個人事業主が選択できる節税手法です。事前に手続きや複式簿記での記帳が必要ですが、メリットが大きいため、検討してみる価値はあります。

(1) 青色申告のメリット

青色申告を選択すると、以下のようなメリットがあります。

  • 最大65万円の青色申告特別控除が適用される
  • 赤字を3年間繰り越すことができる
  • 貸し倒れ引当金を損金に算入できる

青色申告を利用することで、節税効果を最大限に活用できます。

(2) 青色申告の手続きと条件

青色申告を選択する際は、事前に必要書類の提出が必要です。具体的には以下の手順があります。

  1. 申告開始日(2月16日)の前年12月1日までに、青色申告承認申請書を提出する
  2. 複式簿記による記帳が求められるので、適切な記帳を行う

ただし、青色申告は、以下の条件を満たす個人事業主のみが対象です。

  • 事業主が確定申告の義務を負っていること
  • 事業所得が青色申告を選択しても控除後にプラスになること

青色申告を検討される方は、条件を確認の上、手続きを進めてください。

4. 確定申告で注意すべきポイント

ここでは、確定申告を行う際に注意すべきポイントを3つ紹介します。

(1) 期間内に提出を完了する

確定申告期間は2月16日から3月15日までです。期間が過ぎると税金が延滞し、手数料が発生することがあります。また、還付金がある場合は、遅れると受け取ることができません。余裕をもって準備を進め、期間内に提出しましょう。

(2) 所得控除を忘れずに申告する

確定申告では、各種の所得控除を算定することができます。一定額以上の医療費や寄付金、住宅ローンなどには所得控除が適用されることがあります。適用できる所得控除がある場合は、忘れずに申告しましょう。

(3) 過去の確定申告を照らし合わせる

確定申告は毎年繰り返し行いますので、前年度の申告書を参考にすることができます。前年度の内容を見直し、今年度との違いを整理してから申告書を作成すると、ミスが減りスムーズです。

5. 副業を持つフリーランスの確定申告

副業を持つフリーランスの場合、確定申告が必要な条件や注意点が変わります。以下で説明します。

(1) 副業の所得が確定申告の対象となる場合

ビジネスで1年間の所得が48万円以下であれば、確定申告は不要ですが、副業所得が年間20万円を超える場合は個人で確定申告が必要です。

副業で得た所得が20万円以下の場合でも、源泉徴収制度の対象である場合は、所得税を納めすぎている可能性がありますので、確定申告を受けて所得税が還付される可能性があります。

(2) 本業と副業の所得の合算が重要

本業と副業の両方の所得を確定申告する際は、両方の所得を合算して申告します。本業と副業の所得を別々に考慮するのではなく、合算した額をもとに所得税の計算を行うことが重要です。

また、本業と副業で発生する経費も一緒に申告することができますので、適切に計算・整理しておきましょう。これにより、節税効果を最大限に活用することができます。

まとめ

フリーランスの確定申告は、所得税を正確に申告・納税するために重要なプロセスです。この記事では、確定申告の必要性、流れ、注意点や青色申告のメリットについて解説しました。確定申告を円滑に進めるためには、情報の整理や適切な書類の準備がポイントです。また、節税効果を活用するためには、青色申告や所得控除をうまく取り入れることが鍵となります。フリーランスの皆さんが、確定申告を上手に活用して、税金負担を軽減できることを願っています。